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疼痛との闘い


がん末期の方で
痛み止めを処方されていても
頑なに拒否をする方がいます

一日三回訪問看護師が訪れて
鎮痛剤を促しても
まだいい
要らないですと言います

私達はその痛みが身体の痛みを超えた
スピリチュアルの痛みだと思い知ってしまいます

痛みと闘う事で
病と闘う意志を感じてしまうのです

闘う必要はないと言いたくなりますが
それは逆にご本人さんの生きる上での選んだ闘いだと直に思い知るのです

ある時から
痛みを取り除くのが緩和治療であるから
私達は医師の指示の元に緩和看護が当たり前だと思っている自分と闘う事をも
看取りの一つと思う様になりました

ご本人の意志を通させたい思いと
鎮痛剤を飲ませたい意志の
どちらを取るのか
という葛藤をも訪問看護師のあるべき看護の学ぶべきものだと飲み込む様になりました

意識レベルが落ちた時
痛みを取る看護に没頭します
それはどこか本人の頑なだった生き様に終止符を打てる私でありたいと思う様になりました

それでも
私の中に家族の中に
ご本人は充分に決めていた意志を通した事を心から立派だったと思いながら
その終止符を打つのは
私でありたいと思う様になりました

痛みと闘わせたくない自分
という個の意思のような
エゴさも背負おうと決められる様になりました

人はどこかでいつも叱られたいのだとも感じる様になったのは
こんな場面を通して強くなった気がします

ずっと人に言えなかった事を
先日やっと
長年、一人で抱えてた言葉を
松井さんに言えました

痛みは緩和する事が生き方として
訪問看護師ならばと思ってたけど
なんかね
なんかね
やるせないけど
その方が痛みを堪える事で
生きてると実感できる闘いとして選んでる事もあるのだと切ないけど
たまらないけど
理解してしまうの

長く長く闘病生活をして来た中で
想像以上の長く苦しい痛みに耐え抜いて来た人にとって
痛みは生活の中の一部になってしまって
それに耐えてきた自分の貫きたいことの一つになってしまってしまうのかも知れないと感じてしまったの

本人の意識が鮮明で有ればあるほど
そのを折り曲げたら
直ぐに死を選び生きる事を諦めてしまう本人の内側になってしまう気がして
貫きたい痛みと闘いたい気持ちを取り上げる   のは
意志を尊重するという理念をへし曲げるのではないかと葛藤に明け暮れた私がいた

それでもね
それでも
痛みと生きるなんて辛すぎて
ずっといつも痛みを消すことに向けて
看護を続けていくのだけれど
納得するまでその口を私の指で押し開けて鎮痛剤を喉の奥に差し込む事は
出来ないでいた

私は寝息を聴きながら
私の存在を消して
立ちすくみ
決めるんだ!私!
って自分に言い聞かせて
鎮痛剤を入れる時期を見つけられた

意識があちらとこちらの世界を彷徨う様になった時
迷わず自分の生き様として
鎮痛剤を入れて良い時期を決める事ができた

その方の死に向き合うと決めたら
その方の闘病生活の想いを
見届けたと思えたら
痛みとの闘いの終止符を打つ事を決められた

どのタイミングか
それが正しいとか正しくないとか
裁く人が居ようとも
本人の意志を無視したと言われようとも
死は何より真実であり
死の兆候は人間の生理現象の様な様子で私に知らせてくる

私の中の訪問看護の理念として
死はある意味一つの誰もが経験する
人間のセレモニーの意味をなすならば
痛みと共に迎えるべきではないと思うようになった

それは痛みと共に旅立てば
その苦しみをも持っていくことになる
その苦しみは成仏を妨げ
無念さをも連れ立ってゆくと思えた

死の世界は
痛みのないこよなく感覚のない
魂のみになった状態になるだろうけど
生きていた時のさまざまな想いも連れ立ってゆく世界

最後に長い闘病生活にあった痛みから解放されて旅立つことが出来たら
それは大事なことだと思うようになった

意識レベルが落ちてくれたら
そっと痛み止めをその肉体に差し入れたい

この一連の事を
今回、松井さんに委ねた
彼女はある晩
私の所に駆け込んで来た

そして言った

高橋さん
一つだけ聞いて良いですか
〇〇さんへの私の看護は間違ってないでしょうか?
間違ってる気がしてたまらなくて
隠し持ってた山ほどあった鎮痛剤の山を見て
私は間違ってるのではないかと思ってしまって
と悲痛な顔で言った

私はどうしてなんだろうか
根拠ないのに、はっきりと応えてた

これで良い
間違ってないんだ
彼女が選んだ生きるって道だったんだよ
痛みがあったから頑張れたんだ
痛みと闘う事で彼女が勝ちたかった人生の納得を得ようとしていたんだと思う

嫁に来て
お姑さんに虐め抜かれても
耐えて貫いた結婚生活
したかった事を我慢し続けた日々
彼女の意地は耐える事として
生きる時間を生み出したんだ
と話してた

そうですか・・・
良かったんですかね・・・

飛び込んで来た松井さんも
ここまで来たんだなと思えた

叱りつけるなんて出来ようがない
出来るはずがない
横たわり闘う方を鎮痛剤を飲みなさいと叱るなんて

何度聞いても
飲まない
飲みたくないと言い張り
何度促しても
首を横に振り
しまいには飲んだふりまでして隠す様子に
添うべきである時期がある事を学んだ

願わない意識レベルの低下を見逃さずに
すかさず鎮痛剤を差し入れる時
私達はホッとしながらも
その方から納得をもらえた自分を知る

看護師は無力である
と葛藤した頃はまだ未熟だったと思えていて
看護師は無力ではないと思い知った時に
看護師の本当の価値を知った

安らかに眠るその顔に
あなたは充分すぎるほど
闘い抜いて
あなたの人生そのものを自分の意志で貫いたねと
心の中で呟いた経験が
緩和という言葉を学ばせてくれた

我と自我の違いすらとことん考え抜いた機会もたくさんもらえたと思う

それでも
痛みはとことん取り除く方向の看護を目指して行きたいと
終止符を打てる訪問看護師のその手に
もう一つの闘いを委ねられる事を思い知ると良い

その方の意志を捻じ曲げる意志

最後は
〇〇さん?
私の意志と闘ってね
私の意志とあなたの意志はどちらが強い?

あなたが選んだ痛みと闘う意志よりも
私があなたの痛みを取り除きたい意志の方が勝つのよ

それはね
人への愛情という愛なの

ご冥福をお祈りいたします
その生き様を彩った痛みを取り除いて天に見送る訪問看護師達を許してね

許してくれるよね?
愛だったと
天から微笑んでくれるよね

松井さんの愛だったのよ
これ以上闘わせたくないと決めた
一人の訪問看護師の深い強い
あなたの意志を捻じ曲げる意志という愛なの

本物の愛は責任を担うと決めたら
人の意思も捻じ曲げる力が
その手から生まれるね

これで良かったのかなと
これからも背負って生きる
松井率いる訪問看護師達の
人生となる

医師の指示に従ったという大義名分のようでいて
看護師魂を動かした事を
〇〇さんはわかってくれるだろう

そして、
私の胸の内は誰にも話す事なく
私の胸の中で隠していくわ
あなたが隠した鎮痛剤の様にね

これでお互い様ね
人には言えないことがありますよね
そう言って笑った〇〇さんの笑顔は忘れない

墓場まで持って行こうとした
隠してた鎮痛剤
見破った松井さん

人は本当は見破られたい
人は本当は叱られたい

最後に出会えて良かったね
墓場まで持って行かずに良かったね

かがやき訪問看護ステーション
〒874-0042 大分県別府市鉄輪東3組-5
TEL 0977-85-8401 FAX 0977-85-8402
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