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その命のラストの念を☆1


ずっと長きに渡り
訪問看護の醍醐味である看護が
また一つ幕を閉じた

老老介護でご夫婦での認知症でした
それでも断固として家で過ごす!と
言い張る2人の看護は凄まじい展開を
彩り尽くして
私たちを鍛えてくださった

どんなに冷や汗をかきながら
展開しただろうか
どんなにいつも驚かされ
慌てて飛び出たかは
当時からのナースさん達にしかわからない思い出もあります

そして今、思う事
そうね
私たちが未熟だったから
汗をかいていたのだと気付かされるね

ご夫婦で私達に教えてくださった事は
認知症の訪問看護のノウハウでした
その全ては言い表せない位の
訪問看護ステーションの力が詰まったノウハウでした

今なら、今の新規依頼時の様に
即座に対応を答え出せてただろうに
当時はご夫婦のする事が全て
突拍子も無いことに思えたのかもしれないね
あの頃の慌て様は
私達の可愛さだった気がするね

突然、起こりだすから慌てたわ
突然、混乱するから慌てたわ

今ならもっともっとおおらかに
受け止めて
笑い飛ばして笑わせてあげられたのかもしれないね

今ならって思えること全てが
お二人からの人生をかけたプレゼントだったのだろうと思えています

そして
その価値に気付いてしまった私達はラストにしなければならない事があると
気付いてしまった

私はそれを遂げたいと願っていた
それを遂げられるのは
おそらくパパちゃんが天に旅立ったら
私にチャンスをくれるだろうと分かっていた

私達にはそれを遂げる力はない
私達の人生ではない
パパちゃんの人生模様だもの
私を使ってくれるはずと信じてた

その遂げる瞬間を天から施した
パパちゃんの凄さを
書き残しておかないと

訪問看護をしてゆくこれからのナースさん達に知ってもらう事は出来ないだろうと思えて
記しておこうと思います

ある日パパちゃんの支援に行くと
テーブルに置いてあった
古めかしい封筒が目に入った

認知症が進みさらに加速していく感を味わっていた私は
支援時は必ず
あちこちに散乱した封筒やハガキ
振り込み用紙や役所からの送封筒
は見逃さないように片っ端からチェックしながら

パパちゃんが勝手に捨てないでくれよと口にしないように
一つ一つ開けては見せて説明して破棄してた

その束とは別にポツンと一つ置かれた古めかしいその封筒は
特別なものだと勘づく自分に
手を合わせたくなる瞬間

パパちゃん?
このお手紙なぁに?
見ても良い?

あーそれなんだよ
見てくれるかい?
聞いてくれるかい?

封から出した手書きの手紙の出だしは
お父さんへ

いつもはお喋りで止まる事なく
話し続けるパパちゃんが
珍しく黙って私がその手紙を読むのを
じっと見守ってた

読み進みながら
鼓動がドキドキしてきた
切なくなって胸がキュンキュン鳴り始めた
私の頬を涙が、流れ落ちた

ううっ・・・

なんだよ
泣いちゃったら申し訳ないじゃないか
ママちゃん
どうしよう高橋さんを泣かしちゃったよ
不味い事をしちゃったなぁ

パパちゃん
こんな切ないお手紙
どうしよう
私は凄いものを見ちゃったじゃない!
どうしよう苦しくてたまらないわ
涙が止まらないじゃない

そうなんだよ
悪いことしちゃったんだよ
後悔しても取り返しがつかないんだ
吐いた言葉は消せなくてね
傷つけてしまっちゃったんだよなぁ
悪いことしたんだ
バカな事をしたもんだ

後悔してるのね

してるさ
そりゃあ、後悔先に立たずだよ
今更、謝っても消せなくて
息子も苦しめてしまったと思ってるんだ

謝ってもダメだったのね

そうなんだよ
息子の奥さんを傷つけたからなぁ

ポツポツと語るのだけれど
その心の静かさは
諦めを呈した長い月日の末の言葉だったろうと思う

パパちゃんとママちゃんには
長男さんと長女さんの2人の子供さんがいて
私達はその県外に住んでいる2人の内の娘さんとは常に電話で連絡をとっていた

認知症の進み具合や
その時々に起こるハプニングを報告して新たな手立てと実践結果を話して看護展開を繰り返していたが
息子さんとは、担当ナースさんは時折連絡を入れている風だったが
私は一度もお話しした事がなかった

それはパパちゃんから
ちょっと色々あってね
長男夫婦とは上手くやれてなくて
会いになかなか来ないんだと
聞いていたせいもあった

その色々あってね
という内容がこの手紙の内容だと
読んで理解した途端に
涙が出た私だった

手紙の内容を覚えてる言葉をここに書き記せば

お父さんへ

僕の結婚に何故こんなに反対するのか僕には理解できません

彼女は・・・・素敵な女性で
・・・・部分が自慢の人で
僕は彼女を凄く愛していて
彼女以外の人と結婚する気にはなれません
だからお父さんがどんなに反対しても
僕たちは結婚します
お父さん達が彼女に何を言ったのかは
知りませんが
彼女は凄く傷ついていて
僕はお父さん達を許せません

自分のもっともっと大切に思っている人を傷つけられたらお父さんも嫌だと思います

この結婚だけはどんなに反対されても
僕はします

こんな内容だったと思います
私はその必死さが出てる息子さんの手紙を読みながら
パパちゃんが元気な父親の頃に
今は年老いたパパちゃんが
時々、思うように行かずに私達を怒鳴り上げる時の言葉や様子から

結婚しようと紹介した長男さんの彼女に
どんな言葉を放ったのか想像もついて
ドキドキした後に
この手紙をもらってからの何十年間で
パパちゃんが息子さんの想いに意地張っただろう事も予想出来たし
更には年老いてゆく中で
この事がパパちゃんの人生の後悔として
日々大きく増大してきたのを感じたのです

歳を取るとね
昔の幼なじみや同級生
いとこや兄弟
子供達や夫婦への想いも変化してゆきます

振り返る人生の中で
純粋に心を傾けた相手ほど
色濃く蘇り会いたくなったり
思い出が鮮明になってくる

そうさせる場面を度々思い出すようになり自分の不甲斐なさや
何故あんなことしてしまったんだろう
とか後悔する場面が
はっきりと見えてくる

人生の終盤になり90歳近くになってくると
その後悔の場面はより集中した数個となり
パパちゃんを数年間見届けてきてた私達は、パパちゃんの個性も長所も短所も理解してしまい

その手紙を読んで全てを察知してしまう
切ない場面となった

パパちゃんは後悔してるのね・・・

そりゃそうだよ
後悔止まずだよ
可愛かったんだぁ
息子は特にね
いや、娘も可愛くてね
ほら、見てくれよと
小さかった長男長女を抱き抱えてる
若かりし頃のパパちゃんはかっこよく
勇ましい父親で写ってた

ねぇ?パパちゃん?
若いうちは何でも出来ると思ってて
勢いがあるよね
子供の結婚もこんな人が嫁に来てくれたらと思い描いてしまうよね

そうなんだよ
僕のお嫁さんじゃないのに
僕だったらってつい言っちゃったんだよ
失敗したなぁ
言い過ぎちゃってね
長男顔ない時に彼女の方に
ひどい事を言っちゃったんだ

ママちゃんも口を挟み
ついね・・・
つい2人でうちの嫁にはこんな人が欲しいの
貴女と結婚は許したくないってね
悪いことしたわ

そうかそうか
言っちゃったんだね
2つの夫婦の苦しい思い出だね
もう取り返しつかないのかなぁ
もう一回謝ってみたら聞いてくれないかなぁ
行き来したいんだよね

もうダメなんだよ
何度もそんなチャンスはあったんだけどね
もう諦めちゃったよ

この話をしてからも数年間の中で
長男ご夫婦が別府へ来る事はなかったし
連絡もいつも娘さんとだけで
娘さんが帰省した時は嬉しそうに過ごす様子を見に行った

娘さんに一度だけ息子さんとの秘話をした事があるが
もう、心が固まってて和解はお嫁さんと不可能なんです
と返ってきた事があった

かがやき訪問看護ステーション
〒874-0042 大分県別府市鉄輪東3組-5
TEL 0977-85-8401 FAX 0977-85-8402
完全365日24時間緊急連絡及び対応あり
緊急連絡先【看護】TEL 070-5481-8405

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