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偉大なる医師


一言で全てを表したお通夜

ずっとお世話になっていた医師が
この世を去りました

どれだけの患者さんとそのご家族を救ってきただろうか

尊敬しておりました

私の元お舅さんが認知症を認めず
お姑さんに辛く当たるのを見兼ねて
手立てを考えており

私は離婚した立場でしたので
先ずは家族を動かさないとならず
元夫にアドバイスしたりしておりましたが

実はお舅さんは
私の言う事なら聞くと言う関係でした
そう、それは私とは昔から思いっきり喧嘩してきたからです

私はお舅さんが大好きでした
認知症になり妻であるお姑さんに
辛く当たるのを食い止めたかったのです

その気持ちは
お姑さんが可哀想なのもありましたが
何よりお舅さんがお姑さんから
嫌われるのが嫌だったのです

威厳あり父として
元夫とその兄弟にとって怖かった義父が
嫌な人に思われる様になるのも避けたかった

私は認知症をよく理解しておりましたから
その義父が今、怒る時期だと言う事を元家族に理解して欲しかったが
出た身でありましたから
介入は難しく
ましてや、元夫の兄弟にしたら
余計なお世話だと言う部分も理解しておりました

皆さんならどうするでしょうか?
大概の方はもう、出た身だし
不義理した立場だと戒め
黙っておるかも知れやません

私には可愛がられた思い出が沢山ありすぎました
黙っていられませんでした

どの道、余計なお世話お世話な女からと腹をくくり
いきなり元夫の実家に出向き

さっ!お義父さん!
行くよ!

どこに?

病院!
えりと行くのよ
乗って!

いや、待て!
何を言う
わしは行かんぞ

笑いながら私は
そうよね
行く理由を聞かないと嫌よね

私はゆっくり義父の背中をさすりながら
私が着いて行くのよ
よく考えて?
私はお着父さんを大好きよね?

わしもじゃ!

私はお義父さんが認知症になるのを恐れているのがわかるのよ
ならない様にしたいの
お義母さんと仲良く過ごしてもらいたいのよ

じっくりといろんな方面から話しました

義父は腰を上げて車に乗ってくれました

行く道の田畑や山を眺めて車を停めて
2人で思い出話をたくさんした
先祖の土地を守ってきた自分が二男だった事

あの手この手で生活を守ってきた事
そんな話をしてくれた
運転席で泣きそうになったのは

そんな義父が
今、認知症になり怒りっぽくなって
家族に疎まれそうになってる

もし、私があのまま離婚せずに家に居たら
私は上手く家族の仲を取り持てたのにと感じた
その自信は愛情への自信だった

お義父さんが大好きだから

長男の嫁として若かった私に頼り
23歳で嫁いだ私の不足にも
きちんと叱ってくれて
嫁は、こうするもんじゃ!
と叱ってくれたし
しこたま文句を言ってくれた

喧嘩もした
短気の義父に
クソじじいと言った事もあったけど
その言葉の後には
2人で大笑い出来た

足を怪我した時は
お風呂に入れなくて
えりちゃんが洗ってくれるなら入る
と言った

義父のち◎コを私が洗うと言うと
バカ!そこは良い!自分で洗うとお湯をかけられた
そのち◎コがあったから
受け継げて息子3人を産めたんだから
私にはお義父さんのち◎コを洗う権利があると言うと拒否を貫き男としての威厳があった
大笑いして良い嫁じゃと喜んでた

そんな嫁とお舅という関係は
恵まれたものだった
親戚が週末に集まると20人くらいが泊まり
まるで旅館の女中さんの様に
ヘトヘトに家事をした私は最後にお風呂に入るのが常だった

そうすると、さりげなく義父は
風呂の湯を新しく入れ替えてくれたりした
口は悪いが優しい義父だった
私は愛されてた

そんな義父を連れて受診したのは
後藤先生のところでした

後藤先生には先に状況を話しておいた

先生はかっこ良かった
真っ直ぐと正直に話してくれた

あなたも私も高齢ですね
あなたは認知症になっていないと思ってますか?

だとしたらそれを証明しないと
ずっとイライラしますよ
私も医師ですから
検査せねばなりません

その言葉と優しい口調に
医者嫌いの義父は
力を抜いた

いや、この嫁が認知症になりかかってると言うから確かだと思う
この子の言う事はいつも間違ってない
と言った

涙が出た
抱きしめたくなった

そんな様子を○○先生は
受け止めてくれて
凄く自然に凄く確実に義父の
心を掴んでくれた

薬の説明も受け入れやすい様に
親身に話してくれた
それはまるで同じ年頃である義父に歩み寄るものだった

なんて、この先生は
優しいのだろうと感動した

義父が帰り際に
あの先生はいい先生やったな
わかってくれたと言った

医師として
この言葉を言わせられた先生は本当に偉大であらゆる勉強をしているのがみて取れた

訪問看護で関わらせて頂くことが多かったが
一個人として関わってもらえた瞬間に
更にどんなに人の想いを汲める先生であるかを痛感した

その後藤先生が旅立たれ
最後まで医師として貫き
たくさんの患者さん達を導いた功績は
当社の看護師達も一目置いていた

そしてお通夜で何より痛感した

奥様の最後のご挨拶の時

たった一言
主人は本当に優しい人で
本当に大好きでした

胸が熱くなりました

たくさんのご夫婦やご家族を見てきた私は
伴侶や家族に愛され続け
大好きだと言わせることが出来る人が
意外に少ないことに気付いています

医師であり
そして家族に愛されて
人として大好きだと言わせた先生の生き様を全て表している言葉だなと感じた

医師として人を導き
人をみて病を治す

それにはとても人生観や死生観が
しっかりとないと
なかなか人の心は掴めず信頼も得られず

それを出来た方だと尊敬の念に満ちた

尊い方をこの別府の町は失ったと思えた

遺影の写真を眺めて
管理者松井に
若い時に会いたかったね
と呟いたら

私も今、そう感じてました
と返答をくれた

そう若い時の先生とたくさん話して
たくさん感謝についてディスカッションして学びたかった
と言う思いが2人に湧いたのです

どんなに深く
どんなに熱く
医の道に進んできたか

お経さんを聞きながら
棺桶の上に白装束姿で正座して
手を合わせこちらを見ている姿が浮かんだ

お経さんが終わると
棺桶の左側に立ち
手を合わせ
頭を深々と下げている姿が浮かんだ

あー死してなおも
この先生は高い所からではなく
脇に立ち
来てくれた方々に頭を深く下げる様な方なのだと思った

これが医の世界を歩んで来た方の
姿なのだろう
想い深く
共に働いてくれた方々に
その想いは残され
彼等も受け継いでいくのだろうと思う

大好きだった
と言える程、生きた時代の差で関わることが出来なかった事を残念に思えた
私と松井さんの気持ちは

若い時に出逢いたかった

に尽きるのです

素晴らしい生き方に
ご冥福は約束されていると思えました

お通夜に行かせて頂けた事を感謝いたします

大好きだったと側で連れ添った奥様の言葉が聴けて良かった

本当にお世話になりました
有難う御座いました

かがやき訪問看護ステーション
〒874-0042 大分県別府市鉄輪東3組-5
TEL 0977-85-8401 FAX 0977-85-8402
完全365日24時間緊急連絡及び対応あり
緊急連絡先【看護】TEL 070-5481-8405

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