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見送った救急車

 

救急車の後ろ姿をしんみりと眺めながら
私の中に強い想いが湧き出てくるのがわかった

人間は階段を一つ一つ昇るように
悩み学び見つけ成熟してゆく

Yさんは目立つ事なく
裏方に回り仕事を真面目にしてきた方だろうと思う

強い要求もなく
どんなにきつい時も
おそらくどの看護師が質問しても
真面目に答えてくれながら療養してたと思うんです

ご家族様が病院を選び入院でした
送り出しに行かせて頂きました

二階から一階まで階段をなんとかして降りてもらって
私の車で病院に連れて行きます
とご家族様が仰いました

訪問した時、こっそりと
微笑んで言ったんです

ねぇ?Yさん?
昨夜は眠れたかしら

首を左右に振った

そうね、あの急な階段を降りて一階まで歩けるか不安だった?

にこりと笑い、そうそれでもうひと頑張りしないといけないと思って眠れなかった

そうね、安心してね
人生の頑張りをたくさんしてきたものね
もうこれ以上階段なんかにしなくて良いわよ
うふふ、寝てて良いよ

今から病院にも救急車で行きますって伝えときますね
用意をしたら呼びましょう

嬉しかったのは、凄くすごく
救急隊員さん達が、私達の意図と判断をわかってくださり
優しく労ってくれて搬送してくれた事

かがやきさんですね
いつもお世話になります
と深々と頭を下げてくれて恐縮でした

自車だとすぐ診察にならなくて
呼吸も苦しくなるだろうし
手段を選ばさせて頂きました

これで良かったと思います
あの階段は無理ですね
そんな風に力強く言ってくれた
彼等に伝わった気持ちが嬉しかった

人生を昇りながら歩いて来た
降りる階段に苦労した思い出なんて
今の彼につくらせたくないと思った気持ちを隊員さん達はわかってくれた気がして

救急車を見送りながら
手を合わせて深々と頭を下げました

見逃さなかったのは
救急車のドアが閉まる寸前に
上半身を起こして
私を探して
真ん前に立ってる私を見つけて

全てを一瞬で語った、あの目を私は忘れない

行ってきます
有難う
救急車呼んでくれて有難う
もう、会うことはないかもしれないね

確かにそう言った気がした

数日したら、病院に会いに行ってこようと思います
また会えたねって言葉にせずに
救急車が来るまで手をさすってた様に
さすって微笑もうと思いました

家に居たかった?
なんて聞かないです
家族を思って決めた事なのも
わかってるから聴かないです

それでも通じ合えてた
互いの眼差しが
救急車のドアの閉まる寸前に
交わせた事を
切なくもありながら
人間という生き物の素晴らしい情感だと
込み上げて来た瞬間でした

車に乗って信号で停まった時
前の方を走り去る救急車の中に
熱い思いの方が乗ってる事を
叫びたくなった

主治医の先生と
病棟看護師長さん宛ての
記録を託そうと
別のルートで病院に届けようと走り込む担当ナースの見送れなかった無念さを想い

貴女が看護して来た想いは彼に充分に通じてるから大丈夫だよって言ってあげたくなった
想いは光より速いんだ
テレパシーは飛ぶからね

貴女が労わり続けた看護は
彼に納得の在宅生活を与えてますよ
と落ち着いたら言おうと決めた

 

 

かがやき訪問看護ステーション
〒874-0042 大分県別府市鉄輪東3組-5
TEL 0977-85-8401 FAX 0977-85-8402
完全365日24時間緊急連絡及び対応あり
緊急連絡先【看護】TEL 070-5481-8405

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